こんにちは、「相続手続きガイド」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
お父さんが亡くなったんだけど、借金があって相続放棄をしようと思ったんだけど、もう出来ないみたいなんだ?
どうして、相続放棄ができなくなったんじゃ?
司法書士の先生に相続放棄の手続きを頼んだんだけど、銀行口座にあった預金を引き出して使ったから、相続放棄は出来ないって!
そりゃあ当然じゃ!竹千代がした行為を単純承認といって、相続を認めたことになるんじゃぞ!
相続放棄をしたいと思っているのに、気づいた時には既に相続していた、そんな状況に陥らないためには、相続制度をしっかりと理解しておく必要があります。
相続開始後に一定の期間手続きをしなかった場合や、特定の行為をした場合には、「法定単純承認」したことになり、そのまま相続財産を承継することになるのです。
つまり、意図しない相続を受け入れてしまう可能性があります。
本記事では、「法定単純承認」の仕組みや要件について、司法書士の久我山左近が詳しく解説し、相続放棄で相続人が注意すべきポイントをご紹介します。
相続に関わる法律や手続きについて理解を深め、十分な情報を得ることで、トラブルを未然に防ぐための一助になれば幸いです。
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相続の単純承認で相続放棄が出来なくなる!司法書士が解説します!
単純承認と相続の種類
まずは、相続の種類について理解を深めましょう。
相続人は、ご自身の状況や希望に応じて、適切な相続の方法を選ぶことが重要です。
また、相続に関する手続きやリスクについては、司法書士などの専門家のアドバイスを受けることもお勧めです。
単純承認
単純承認は、被相続人の権利や義務をすべて相続する方法です。
プラスの財産やマイナスの財産、すべてを受け継ぐことになり、一般的な相続の形としてよく知られています。
しかし、単純承認には注意点もあります。
例えば、故人が多額の借金を抱えていた場合などで、単純承認を選んだ場合に相続人はその借金も引き継ぐことになりますので、借金の有無や金額によっては、単純承認を選ぶことにリスクが伴うこともあります。
限定承認
限定承認は、被相続人の債務がどの程度あるか不明だが財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務の負担を受け継ぐ方法です。
ただし、限定承認をするためには、家庭裁判所に申述をしなければなりません。
申述は相続人全員で行う必要があり、相続が発生したことを知った日から3ヵ月以内です。
この期間内に申立てを行わないと、自動的に単純承認を選んだものとみなされます。
相続放棄
相続放棄は、相続人が自身の権利を放棄し、一切の財産を受け継がない方法です。
相続放棄を選ぶことで、相続人は相続財産に対する義務や責任から解放されます。
相続放棄をするには、裁判所に申述する必要があり、相続人は相続放棄を宣言し、相続問題から離れることができます。
相続放棄は、相続人が自身の意思で行うものであり、一度放棄すると基本的に取り消すことはできません。
法定単純承認したことになる場合
単純承認については「民法」で定められており、相続財産を処分したり、一定の期間内に限定承認や相続放棄をしなかったり、相続財産を隠蔽したりすると適用されます。
相続財産を処分したとき
相続人が相続財産の一部または全部を処分した場合、法定単純承認が適用されます。
相続財産の処分とは、例えば売却したり、贈与したりすることを指します。
相続人が財産を処分すると、相続財産の価値が減少する可能性があるため、法定単純承認が適用され、相続人は財産の減額分についても責任を負うことになります。
一定の期間内に限定承認・相続放棄をしなかったとき
相続人は、相続開始から3ヵ月以内に限定承認や相続放棄を行うことができます。
この期間内に限定承認や相続放棄をしなかった場合、自動的に単純承認が適用されます。
つまり、相続人は相続財産の全部を受け継ぐことになります。
一定の事由や状況によって限定承認や相続放棄を考えている場合は、期限内(熟慮期間)に手続きを行いましょう。
相続財産の隠蔽など一定の背信的行為があったとき
相続人が相続財産を隠蔽したり、虚偽の申告を行ったりした場合も、法定単純承認が適用されます。
相続財産の隠蔽とは、相続人が故意に財産を秘匿し、他の相続人に知られないようにすることを指します。
また、虚偽の申告とは、相続財産の価値や内容について嘘をつくことを指します。
これらの行為は相続手続きの信義則に違反するものであり、法定単純承認が適用されることになります。
参考:e-Gov法令検索「民法 第921条(法定単純承認)など」
相続発生時は無自覚に「法定単純承認」しないように要注意
相続が発生した際には、知らない間に「法定単純承認」してしまうことがあります。
しかし、相続人に多額の借金や未払いの義務がある場合、この単純承認は非常にリスクを伴います。
この法定単純承認に関しては、今回の竹千代のように被相続人の口座にある預貯金を下ろして使ったケースなどはわかりやすいのですが「亡くなった方が所有していた自動車の保険を支払うこと」「亡くなった方の入院費を被相続人の保険から支払うこと」など、ご自身に意識がなくても相続放棄ができなくなる行為は多くありますので、充分に注意する必要があります。
相続が発生したら、まずは司法書士などの相続の専門家への相談を検討しましょう。
相続人同士の争いや借金問題など、トラブルを避けるためにも早めの対策が重要になります。
相続発生時には無自覚に単純承認してしまわないように注意し、専門家の助言を受けながら適切な方法を選びましょう。
ここまでで、今回のブログ「相続放棄をしたいのに「法定単純承認」で、すでに相続したことに?」のテーマについての解説は以上になります。
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それでは、司法書士の久我山左近でした。