こんにちは、「相続手続ガイド」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
生前贈与は、贈与税の年間の非課税枠を活用しての相続税の節税対策としてよく利用されます。
また、それ以外にも親族以外の誰かに財産を引き渡したい時などにも生前贈与は利用されます。
次に、遺留分とは法定相続人の最低の生活を保障するために一定の相続分を確保するための制度になります。
亡くなった方が相続財産のすべてを特定の誰かに生前贈与したり、遺言書で相続財産のすべてを特定の誰かに相続させた場合には、侵害された遺留分を請求することができます。
今回のブログでは、生前贈与と遺留分の関係について、いろいろなケースで生前贈与をした場合の遺留分の取り扱いについて、司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
これから生前贈与をお考えの読者の方にとっては必見の内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
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生前贈与と遺留分侵害請求の関係とは?司法書士が詳しく解説します。
今回のブログでは、生前贈与と遺留分の関係について、亡くなった方がいろいろなケースで生前贈与をした場合の遺留分の取り扱いについて司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
生前贈与の基本的な知識について!
まず最初に、今回のブログのテーマでもある生前贈与について解説いたします。
生前贈与とは、被相続人がまだ健在のうちに所有している財産を引き渡したい人に無償で譲り渡すことです。
生前贈与は、贈与税の年間110万円の非課税枠を利用して相続税の節税対策によく利用されています。生前贈与を上手く活用することで相続税が課税される相続財産を減らすことができます。
相続税の節税対策としてよく利用される生前贈与ですが、それ以外にもいろいろと利用することができ、ご自身が亡くなった後の相続財産は民法の規定に従って分配されますが、生前贈与であれば親族以外の誰にでも自由に相続財産を引き渡すことが可能です。
相続開始前の3年以内におこなった贈与財産については、相続財産に加えて相続税を計算します。その代わりにすでに納付した贈与税は、二重課税を回避するために相続税から控除されます。
遺留分とは、相続人が最低限受け取れる財産取得の割合です。
遺留分とは、法定相続人の最低の生活を保障するために一定の相続分を確保するための制度になります。
亡くなった方が相続財産のすべてを特定の誰かに生前贈与したり、遺言書で相続財産のすべてを特定の誰かに相続させた場合などに、残された相続人たちが不利益を受けないための制度です。
遺留分は、一定の法定相続人が最低限相続できる相続財産の取り分のことになりますが、この遺留分が保障されているのは法定相続人の中でも兄弟姉妹を除いた配偶者や子供や孫、両親などになります。
遺留分については、民法という法律で保障されている権利なので、今まで解説してきた生前贈与や遺言によってもこの権利を侵害することはできません。
遺留分とは、通常は相続財産の2分の1になりますが、もし法定相続人が親だけの場合は相続財産の3分の1になります。
遺留分がどの程度の割合になるのかを下記のようにわかりやすくリストにしました。
- 通常は法定相続分の2分の1
- 父母(直系尊属)だけの場合は法定相続分の3分の1
- 兄弟姉妹には遺留分はありません
この遺留分に対して法定相続分でそれぞれの相続人の遺留分を計算いたします。例を挙げれば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合は、相続財産の遺留分の2分の1に法定相続分をかけて計算をしますので、配偶者は法定相続分の2分の1で4分の1が遺留分になります。それぞれの子供たちは法定相続の4分の1をかけて遺留分はそれぞれ8分の1になります。
どうでしょう、遺留分の計算方法の理解はできましたでしょうか。
遺留分の財産の計算方法を解説します。
遺留分の対象となる財産は、ここまでも解説してきた通り亡くなった方の相続財産だけでなく、生前に贈与した財産も含まれます。ここでは3つのパターンの生前贈与を紹介いたします。
- 相続開始1年以内に贈与した財産
亡くなった方の相続が開始された日から遡って1年以内の贈与は、誰に対する贈与であっても遺留分の対象になる財産に含めます。 - 遺留分を侵害することを双方が承知して贈与した財産
亡くなった方の相続が開始された日から遡って1年よりも前にした贈与した財産であっても、当事者の双方が遺留分を侵害することを知っていながら行われた贈与は、すべて遺留分の対象になる財産に含めます。 - 相続人に対する一定の財産(特別受益)
例を挙げれば、相続人に対する結婚資金や住宅取得資金などの贈与は、特別受益と呼ばれ何年前のものであっても遺留分の財産に含まれます。
これらの生前贈与は相続財産に加えたうえで遺留分を算出します。
遺留分の侵害とは?司法書士が解説します。
遺留分の侵害とは、わかりやすく例を挙げると、亡くなった方が内縁の妻にすべての相続財産を生前贈与したようなケースがあげられます。
このケースだと残された相続人が持つ遺留分が侵害されているのがよく理解できると思います。
続いて少しわかりにくいと感じるかもしれませんが、相続人が受けた特別受益にあたる生前贈与の額と実際に相続した相続財産の合計額が、その相続人が持つ遺留分の額に満たない状態である場合には遺留分が発生します。
例を挙げますと3000万円の相続財産があり、子供1人が相続人だったケースで、亡くなった方(被相続人)が愛人に2000万円を生前贈与しているとします。以前に結婚資金を200万円の贈与をしてもらっているとしても3000万円+200万円の2分の1の遺留分である1600万円を超えて生前贈与がおこなわれていますので、400万円は子供の遺留分を侵害されていることになります。
遺留分が侵害されている場合には遺留分侵害額請求を行います。
遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分について対価となる金銭を遺留分を侵害した人に対して請求することです。
生前贈与の遺留分侵害額請求について対象となるのは次のものに限られます。
- 法定相続人以外の人に、相続開始前の1年間に生前贈与された財産
- 法定相続人以外の人に遺留分を侵害すると知って生前贈与された相続開始1年以上前の財産
- 法定相続人に対して相続開始10年以内に生前贈与された財産
遺留分侵害額請求の請求手順を解説します。
遺留分侵害額請求は、侵害した人とされた人の当事者の話し合いによっておこないますが、相手が遺留分の支払いに応じてくれた場合には合意書を作成しておきましょう。
また可能であれば公正証書がベストな選択になります。
公正証書で作成しておくと、約束通りに金銭の支払いがない場合でも、ただちに給料や銀行口座の差し押さえが可能になります。
相手方が遺留分の請求に応じない場合には、まずは家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てます。
調停では調停委員がお互いの間に入って遺留分支払いについての協議を行います。
もし調停でも相手方が遺留分の支払いに納得しない場合には、遺留分侵害額請求訴訟を申し立てます。
遺留分侵害額請求訴訟では裁判官が判決という形で判断を行います。
最後が遺留分侵害額請求と時効との関係ですが、遺留分侵害額請求は知ったときから1年で時効で消滅し、また遺留分が侵害されていることを知らなかった場合でも死亡から10年で遺留分の権利は時効で消滅します。
ここまでで、今回のブログ「生前贈与した場合の遺留分の割合とは?司法書士が詳しく解説!」のテーマの解説は以上になります。
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それでは、司法書士の久我山左近でした。