こんにちは、「相続手続きガイド」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
家族が亡くなった後、意外と困るのが携帯電話やサブスクの解約です。
「相続放棄する予定だけど、亡くなった父のスマホは解約していいの?」
「Netflixや動画配信サービスの料金が毎月引き落とされているけど、止めても大丈夫?」
「携帯料金を払ってしまうと相続放棄できなくなる?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
相続放棄では、亡くなった方の財産を勝手に売却したり、使用したりすると「相続することを認めた」と判断され、
相続放棄に影響する可能性があります。
そのため、携帯電話やサブスクについても「解約すること」と「料金を支払うこと」「端末を処分すること」は分けて考える必要があります。
この記事では、相続放棄する場合の携帯電話・サブスクの解約方法と、やってはいけない手続きを司法書士の久我山左近がわかりやすく解説します。
お友達登録するだけで相続放棄のお悩みが解決できる!相続お悩みLINE相談!
相続放棄をするなら慎重に扱った方が安全です。


相続放棄すると借金だけでなく財産も相続しない
相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の相続について、プラスの財産もマイナスの財産も原則として引き継がない手続きです。
裁判所も、相続放棄について「被相続人の権利や義務を一切受け継がない」選択肢として説明しています。
相続放棄をするには、原則として自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
たとえば、亡くなった父親に、
- 預貯金300万円
- 自動車100万円
- 消費者金融の借金500万円
があったとしましょう。
相続放棄すれば500万円の借金だけを放棄するのではなく、預貯金や自動車などについても相続しないことになります。
相続財産を処分すると相続放棄できなくなる可能性がある
ここで注意したいのが「法定単純承認」です。
民法921条では、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、一定の場合を除き、単純承認したものとみなすことが定められています。
つまり、「私は相続放棄します」と言いながら、亡くなった人の財産を自分のものとして自由に処分することはできないということです。
たとえば、「父の車を売却して代金を受け取った」「父の預金を引き出して自分の生活費に使った」といった行為は問題になる可能性があります。
一方、民法921条は保存行為を例外としています。携帯電話の解約については、これ以上基本料金などが発生することを防ぐという意味で、保存行為と評価できるとの考え方があります。
ただし、携帯電話の解約が必ず保存行為になるという明確な基準が確立されているわけではなく、解約を控えた方が安全だとする専門家の見解もあります。
相続放棄しても携帯電話は解約できる?
携帯電話については、「絶対に解約して大丈夫」と一律に考えるのは避けた方が安全です。
携帯電話をそのまま放置すると、亡くなった後も基本料金などが発生し続ける可能性があります。
そのため、「これ以上、相続財産や債務が増減しないよう契約を終了させるだけなら保存行為ではないか」という考え方があります。実際、携帯電話の解約を保存行為として考えることができるとの法律実務上の見解があります。
しかし一方で、携帯電話の契約上の地位そのものを処分したと評価される可能性を完全には否定できません。
そのため、相続放棄を考えている場合には、いきなり通常の解約手続きをするのではなく、まず携帯電話会社に、
「契約者が死亡しており、相続放棄を予定しています」と伝え、死亡した契約者についてどのような手続きが必要なのか確認することをおすすめします。
携帯電話で特に危険なのは「解約」より「支払い・売却」
携帯電話について、より注意したいのは端末代金や利用料金です。
たとえば、亡くなった父親のスマートフォンに5万円の端末残債があったとします。
この5万円は基本的には亡くなった人の債務です。
相続放棄を予定しているにもかかわらず、亡くなった人の銀行口座から5万円を支払う行為は避けるべきです。
相続財産から債務を支払う行為は、相続財産の処分として単純承認の問題が生じる可能性があります。
また、スマートフォン本体にも注意してください。最近のiPhoneなどは中古でも数万円から十数万円の価値が付く場合があります。そのスマートフォンを、「もう使わないから売ってしまおう」「下取りに出して新しいスマホを買おう」と処分してしまうと、相続財産の売却・処分として問題になる可能性があります。
解約とスマートフォン本体の処分は別問題と考えましょう。
サブスクは解約できる?
サブスクについても基本的な考え方は携帯電話と似ています。
たとえば、
- 動画配信サービス
- 音楽配信サービス
- 電子書籍
- オンライン新聞
- 有料アプリ
- クラウドサービス
- オンラインゲームの月額サービス
などがあります。
亡くなった後も解約しなければ、毎月料金が発生するサービスがあります。
そのため、新たな料金の発生を止め、相続財産の減少や債務の増加を防止するだけであれば、保存行為と評価できる余地があります。
ただし、携帯電話と同じく、すべてのサブスクについて「解約しても絶対に問題ない」と断定することはできません。特に注意したいのが、サービス内に金銭的価値のある残高やポイントなどが存在する場合です。
単に契約を止めることと、その財産的価値を利用・換金することは分けて考える必要があります。
相続放棄する場合の携帯・サブスク手続き○△×表
相続放棄を予定している場合の対応を簡単にまとめてみましょう。
| 手続き | 判断 | 注意点 |
|---|---|---|
| 携帯会社に死亡を連絡する | ○ | まず死亡の事実と相続放棄予定を伝える |
| サブスク会社に死亡を連絡する | ○ | 死亡時の手続き方法を確認する |
| 携帯電話を解約する | △ | 保存行為との考え方があるが、事前確認が安全 |
| サブスクを解約する | △ | 料金発生を止めるだけなら保存行為となる余地あり |
| 故人の預金から携帯料金を払う | × | 相続財産の処分となる可能性がある |
| 故人の預金からサブスク料金を払う | × | 同様に避けた方が安全 |
| スマホを売却する | × | 相続財産の処分となる可能性がある |
| スマホを下取りに出す | × | 財産価値があれば特に注意 |
| 電子マネー・ポイントを使う | × | 財産的価値がある場合は使用しない |
| 解約による返金を自分のものにする | × | 相続財産となる可能性がある |
| 故人の口座から自分の口座へ送金 | × | 原則として避けるべき |
特に覚えておきたいのは、
「連絡する」→○
「解約する」→△
「財産を使う・売る・受け取る」→×
という考え方です。
もちろん個別の契約内容や財産価値によって判断は変わりますが、相続放棄を予定している人にとってわかりやすい目安になります。
携帯電話会社から「未払い料金を払ってください」と言われたら?
携帯電話を解約しようとしたところ、「未払い料金があります」「端末代金が残っています」と言われることがあります。この場合、その場ですぐに支払うのではなく、「相続放棄を予定しているので、支払いについては確認してから対応します」と伝えるのが安全です。
特に、亡くなった人の銀行口座から勝手に支払うことは避けましょう。
携帯電話の「通信契約を終了させること」と「亡くなった人が負っている債務を支払うこと」は別の問題だからです。
クレジットカード払いのサブスクにも注意
サブスク料金が故人名義のクレジットカードから引き落とされているケースもあります。
この場合、「サブスクを止めれば全部解決」とは限りません。携帯料金、動画配信、音楽配信、オンラインサービスなど複数の継続課金がクレジットカードに登録されている可能性があります。
相続放棄を考えているなら、クレジットカード会社にも契約者が死亡したことを連絡し、必要な手続きを確認するとよいでしょう。ただし、故人の銀行口座のお金を動かして支払いに充てることは別問題です。相続放棄を予定しているのであれば、財産にはできるだけ手を付けないことが重要です。
スマートフォン本体はどうすればいい?
相続放棄する場合に悩みやすいのがスマートフォン本体です。
通信契約を終了したからといって、スマートフォン本体まで捨ててよいわけではありません。
スマートフォンには中古市場での財産価値がある可能性があります。そのため、「解約したから初期化して売却しよう」「買取店に持っていこう」「下取りに出そう」といった行為は避けた方がよいでしょう。
相続放棄をするのであれば、基本的には端末を勝手に売却・換金せず、そのまま保管しておくのが安全です。
すでに携帯電話を解約してしまったら?
「この記事を見る前に携帯を解約してしまった!」という方もいるでしょう。
しかし、携帯電話を解約しただけで直ちに相続放棄ができなくなると決まるわけではありません。
携帯電話の解約については、基本料金などが増え続けるのを防止する保存行為と評価できるとの考え方もあります。
一方で、契約上の権利を処分したと評価される可能性を指摘する見解もあるため、個別判断が必要です。
したがって、すでに解約してしまった場合でも、「もう相続放棄できない」と自己判断する必要はありません。
何を解約したのか、料金を誰のお金で支払ったのか、端末をどうしたのかなどを整理して、司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
相続放棄では「解約」と「財産の処分」を分けて考えよう
相続放棄をする場合、携帯電話やサブスクをどうすればよいのか迷う方は多いでしょう。
重要なのは、「料金の発生を止めること」と「亡くなった人の財産を使ったり処分したりすること」は別という
点です。
携帯電話やサブスクの解約については、料金の発生を防止する保存行為として認められる余地があります。
しかし、明確な判断基準があるとは言い切れないため、相続放棄を予定しているなら、まず事業者に死亡と相続放棄予定の事実を伝え、手続き方法を確認するのが安全です。
そして特に注意すべきなのは、故人の預金から料金を払わない、スマートフォンを売らない、電子マネーなどの財産的価値を使わないことです。
相続放棄では、ちょっとした行動が後になって問題になる可能性があります。
「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断せず、借金が多い場合や相続財産の内容が複雑な場合には、財産を動かす前に専門家へ相談することをおすすめします。
それでは、ここまでで、「相続放棄しても携帯電話やサブスクは解約できる?詳しく解説します。」のテーマの解説は以上になります。
「自分の場合はどうなるのか知りたい」「手続きの流れを教えてほしい」といったご相談でも大丈夫です。
まずはお気軽にお問い合わせください。
カワウソ竹千代相続の手続きでのお悩みについては、お気軽に当事務所までご相談をしてくださいね。



それでは、久我山左近でした。












