相続登記義務化をわかりやすく解説!登記をしない罰金はいくら?

司法書士法人ホワイトリーガル

こんにちは、「相続手続きガイド」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。

今までは任意だった相続登記を義務化する法律が令和6年4月1日から施行されました。
また、今回の改正法については法律の施行後に不動産を相続される方だけでなく、遡って法律が適用されますので過去に不動産を相続して、まだ名義変更をしていない方についても相続登記をしないと罰金の対象になります。

カワウソ竹千代

今までは任意だった相続登記が、なんで義務化されたのかな?

久我山左近

今回の改正法はあの東日本大震災がきっかけになっているんじゃ!あの時の復興にあたって相続登記をしていないことで、土地の所有者がわからずに復興事業が進まなかったという理由からなんじゃ!

カワウソ竹千代

震災の復興の障害になるくらい多くの人が相続登記をしていなかったということなの?

久我山左近

そうなんじゃ!実は現在の日本では相続登記をしていない土地の面積を合計すると、なんと九州全土の面積より大きくなってしまうんじゃ!

左近先生と竹千代の掛け合いによって相続登記が義務化される背景はご理解いただけたと思いますので、ここからは相続登記義務化の内容や対処法について、また相続登記義務化に関する罰金について、司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。

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目次

相続登記義務化の具体的な内容と罰則規定について司法書士が解説します!

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所有者不明土地の解消を目的として不動産登記法が改正され、以前は任意だった相続登記が義務化され、その期限内に必ず登記をしなければならないことになりました。

相続登記義務化では3年以内に相続登記をしなければなりません。

カワウソ竹千代

今回、相続登記が義務化されたんだけど、いつまでに登記の申告をしなかればならないという規定はあるの?

久我山左近

いつまでという規則はちゃんとあって、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記しなければならないんじゃ!

今回の相続登記義務化の改正法では、不動産の相続人に対して「相続が開始して所有権を取得したことを知ってから3年以内に相続登記をしなければならない」と定められています。
なお、一般的には被相続人が亡くなった日から3年以内に登記をしなければなりません。

相続人申告登記制度の新設

カワウソ竹千代

どうしても、その期間内に相続登記が間に合わない場合はどうしたらいいの?

久我山左近

そういった場合に備えて、改正法では相続人申告登記という新しい制度が設けられたんじゃ!

改正法では、どうしても登記の申請が間に合わない方に向けて「相続人申告登記」という新しい制度が作られました。
これは、不動産を相続した方が法務局に対して、ご自身が不動産の相続人だと申し出て登記してもらう制度になります。
相続が発生して不動産の所有者となった方は、基本的に3年以内に相続登記しなければなりませんが、遺産分割協議が終わっていないなどの事情により相続登記をするのが難しいケースも多く出てくると思われます。
そこで、とりあえず「自分が相続人です」と法務局に申請することにより、相続登記の義務を果たしたことにしてもらうのが「相続人申告登記制度」になります。
相続人申告登記の申請があると、法務局の登記官はその不動産の登記簿に申出人の氏名や住所などの情報を付記します。
そして、その後に遺産分割協議などを行い、正式な相続人が確定したら、その確定した日から3年以内に正式な相続登記を申請すれば相続人は義務を果たしたことになり、罰金を受けなくて済むことになります。

相続登記しない場合のペナルティは過料10万円になります。

カワウソ竹千代

じゃあ、もし期限内に登記をしなかったらどんなペナルティがあるの?

久我山左近

もし期限内に登記をしないと10万円以下過料が科されるととになっておる!

相続登記義務化が施行された後に、期限内に相続登記を完了しない場合にはペナルティが科されます!
具体的には「10万円以下の過料」が科されますが、その過料とはお金を徴収される金銭的な行政罰になります。
過料は罰金や科料とは異なり犯罪ではないので前科こそ付きませんが、10万円というお金を取られるだけでも十分なペナルティになりますので、相続登記の義務化後は早めに相続登記の申請をいたしましょう。

相続登記の義務を果たす具体的な方法を解説します。

カワウソ竹千代

相続登記をしなければならないのはわかったけど、具体的にはどうすればいいの?

久我山左近

相続登記の義務を果たすためには、いくつかの方法があるので、一緒に見ていこう!

それでは、ここからは具体的に相続登記の義務化を履行するための方法をご紹介いたします。

3年以内に相続人全員の共有名義の登記を申請する

カワウソ竹千代

まずは、当たり前だけど、相続登記の申請をすればいいんだよね?

久我山左近

そうなんじゃが、その相続登記の方法にもいくつかあって、まずは相続人全員の名前で相続登記を申請する方法があるんじゃ!

相続が発生して、ご自身が不動産の所有者になったことを知った日から3年以内に「法定相続人全員の共有名義」にすれば、相続登記の義務を果たしたことになります。

3年以内に遺産分割協議をして相続登記を申請する

カワウソ竹千代

でも、もし遺産分割で単独名義にするのならば、共同名義にするのは2度手間になるし、手続き費用も無駄になるよね?

久我山左近

そうじゃな!最終的に単独名義にするのであれば、相続登記は単独名義での申請がベストな方法じゃ!

相続が発生してご自身が不動産の所有者となったことを知った日からら3年以内に相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産を引き継ぐ相続人を確定させてから相続登記を申請いたしましょう。この手続きの流れが1番スタンダードで、相続登記申請の費用も節約することができます。

相続人申告登記をする

カワウソ竹千代

前に左近先生に説明された相続人申告登記でもいいんでしょ?

久我山左近

そうじゃな!ただし、後日には正式な相続登記の申請が必要になることを忘れてはいかんぞ!

相続が発生しても、期限内に遺産分割協議が行われないケースも少なくありません。その場合は、とりあえず法務局で「相続人申告登記」をするという方法もあります。
しかし、その後に遺産分割協議が成立した場合には、その時点から3年以内に正式な相続登記を申請することを忘れないようにいたしましょう。

相続放棄の手続きをする

カワウソ竹千代

相続された不動産が欲しくない場合は何かいい方法がないかな?

久我山左近

そんな場合には、相続自体を放棄するという方法もあるんじゃ!

不動産を相続したくないのであれば、相続放棄の手続きを取るのも1つの方法になります。相続放棄の手続きを取ると最初から相続人ではなかったことになりますので、相続登記の義務は適用されなくなります。
ただし、相続放棄には期限があり、相続人になったことを知ってから原則3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てなければなりませんので注意が必要になります。

改正法が施行される前の相続にも適用されます

カワウソ竹千代

改正法は施行された後に効力が発生するのが普通なんだけど、相続登記の義務化に関しては遡って適用されるって本当なの?

久我山左近

そうなんじゃ!相続登記義務化に関しては遡って法律が適用されるので、以前の相続登記も期限内に申請しないとペナルティの対象になるんじゃ!

カワウソ竹千代

でも、なんで以前まで遡って相続登記義務化を適用する必要があるの?

久我山左近

その理由は改正法前の相続に適用できないと、現状の所有者不明土地の問題を解決できないためなんじゃ!

法律の改正があると、法律の施行後に対して適用されるのがほとんどで、法律の改正前については適用外とされるのが一般的です。
しかし、今回の改正法は相続の発生が法律の施行前であっても、その相続についても義務化が適用されます。もちろん、以前の相続に関しても登記をしないとペナルティの対象になりますので注意いたしましょう。

不要な土地を国に譲渡できる法律の制定

カワウソ竹千代

今回の相続登記義務化と前後して、いらない土地を国が引き取ってくれる制度ができたって本当なの?

久我山左近

そうなんじゃが、どんな土地でも国が引き取ってくれる訳じゃないんじゃ!詳しく解説するぞ!

今回の相続登記を義務化する法律の改正と前後して、いらない土地を国に引き取ってもらえる制度「相続土地国庫帰属法」が施行されました。
ただし、どんな土地でも国が引き取ってくれるわけではなく、まず相続により取得した土地である必要があります。
ですから、購入した土地は引き取りの対象ではありませんし、相続により取得したとしても建物はこの制度の対象ではありません。
また、土地の上に建物が立っている場合や、抵当権などの担保権が設定されている土地、管理や処分に多くの費用や労力がかかる土地なども引き取ってもらえません。
国に土地の引き取りを求める際には審査が行われ、その審査の手数料がかかりますし、10年分の土地管理費などの費用が別途発生しますので、簡単にこの制度の利用ができるという訳ではありませんが、もしご自身にいらない土地がある場合には一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

どうでしょうか、今回の記事「相続登記義務化をわかりやすく解説!登記をしない罰金はいくら?」のテーマの解説は以上になります。

当コラムを運営する司法書士法人ホワイトリーガルでは、相続登記義務化のお悩みに関する無料相談だけでなく、相続の手続き全般に関して無料相談を受け付けています。
ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用して相続のお悩みを解決していただきたいと思います。

カワウソ竹千代

相続登記義務化に関する何か疑問点やご質問などがございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください!

久我山左近

それでは、司法書士の久我山左近でした!

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