相続人全員が相続放棄した場合の故人の相続財産の取り扱いとは?

相続手続きガイド

こんにちは、「相続手続きガイド」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。

少し法律を学んだことがある読者の方であれば相続放棄された相続財産は国庫に帰属されるということを聞いたことがあると思います。仮に相続人全員が相続放棄をした場合の相続財産をわざわざ国が引き取りに来るのでしょうか?

今回のコラムでは、相続人全員が相続放棄した場合の相続財産の行方についてと、その手続きについて相続に詳しい司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。

今回の記事を読むと、相続人全員が相続放棄した場合の手続きについての正しい知識が身につきますので、ぜひわたしの記事を最後までお読みください。

目次

相続人の全員が相続放棄した場合に故人の相続財産の行き先はどうなる?

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今回のコラムは相続放棄に関する内容になりますので、相続放棄全般に関しては依然のコラム「相続放棄について!相続に詳しい久我山左近がわかりやすく解説します!」で詳しく解説していますので、ぜひそちらもご覧になってください。

一般的に相続放棄を選択するケースは亡くなった方(被相続人)に多額の債務(借金など)があるときが多いと思いますが、相続財産の中に相続人が欲しくない古い家屋などがある場合も相続放棄を選択することがあります。

法定相続人が相続放棄をすると他の相続人に相続権が移りますが、相続人の一人が相続放棄をするぐらいですから他の相続人も喜んで相続したいとは考えられませんので、その結果法定相続人の全員が相続放棄した場合には残された相続財産、特に不動産や自動車は誰が管理して誰が処分するのでしょうか?

いらない相続財産は誰が管理や処分をするのでしょうか?

相続人全員が相続放棄した場合の相続財産の行方や相続人の責任について詳しく解説をいたします。

亡くなった方(被相続人)に借金などの債務が多く法定相続人の誰も相続したくない場合だと、相続権を有する相続人全員が相続放棄をすることになります。こんなケースでもあまり価値のない不動産や古い自動車といった相続財産が残る場合があります。

こうした相続人全員が相続放棄するケースの手続きでは、残された相続財産に対して家庭裁判所により相続財産管理人が選任されます。そして、相続財産管理人が家庭裁判所で選任された後は、相続財産の管理は相続財産管理人が負いますので、相続人は相続財産の管理義務からは解放されることになります。また、相続財産管理人が債権者への弁済などを行って最終的に残った財産があれば国庫に帰属させることになります。

しかし、これは建前の部分であり相続財産管理人は利害関係人の請求がない限り選任されるこはなく、家庭裁判所が勝手に選任してくれるわけではありません。また、相続財産管理人の選任には通常は数十万から100万円程度の予納金が必要となるため簡単に選任することは出来ません!

ここで、まず1つ目の疑問は高額な費用がかかる相続財産管理人の選任をしない場合に相続財産はどうなるのでしょうか?

相続人全員が相続放棄してもめぼしい相続財産が残らないケースだと大きな問題になることはありません。しかし、ある程度の相続財産が残るケースはいろいろと問題になることがあります。相続放棄した相続人には残された相続財産を適切に管理すべき義務が発生いたします。ですから古い家屋などの不動産が残されている場合は、その家屋が壊れて隣地や歩行者などに危害が及んだ場合はその損害を賠償する必要があります。

そして前述のように相続人が全員が相続放棄をしても、不動産などのある程度管理しなければならない相続財産が残る場合には相続財産管理人の選任を検討する必要があります。ただ、その費用がない場合や不動産にほとんど価値がない場合だと難しい判断になります。もし、その判断でお悩みの方がいますたら、ぜひこのコラムの最後にある無料相談でお気軽にお問い合わせください。

ここまでは、相続人全員が相続放棄をしたケースの解説をしてきましたが、借金が多く相続放棄をしたくても出来なくなってしまうケースがありますので注意が必要になります。

ここからは相続放棄における大きな問題の解説です!

法定相続人の行為によっては知らないうちに相続を承認してしまうことで、相続放棄の手続きに支障をきたすケースがあります。

相続放棄をしても相続財産が残るケースで古い家屋や古い自動車が残った場合には、その古い家屋に住んでしまうとか、古い自動車を使用してしまうと、相続財産を単純承認をしたとみなされてしまい相続放棄していてもその効果が覆ってしまいます。相続放棄が覆ってしまうと借金の返済義務も復活してしまいますので注意が必要になります。

この相続放棄を覆す要件としての単純承認には、亡くなった方の自動車保険を支払う、亡くなった方が入院していたケースでその入院費を亡くなった方の生命保険で支払うといったことでも単純承認とみなされますので細心の注意が必要です。

相続放棄して相続財産管理人の選任する場合とは?

前述で解説をした相続財産管理人は、家庭裁判所に対して申立てを行い選任してもらう必要があります。相続財産管理人を家庭裁判所に申立てる際の必要書類としては、多くの戸籍謄本や相続財産に関する資料、利害関係人であることを証する書類などが必要となりますので、一般の方では難しいケースがほとんどになります。

また、場合によっては相続放棄をせずに相続してから相続財産を処分した方が費用がかからない可能性もありますので、あえて高額の費用を支払ってまで相続財産管理人を選任するメリットがあるかについては、当サイトのような相続専門の事務所に相談した上でしっかりと検討した方がいいでしょう。

どうでしょう、相続人全員が相続放棄をする上での注意点についての理解は深まりましたでしょうか。

ここまでで、今回のコラム「相続人全員が相続放棄した場合の故人の相続財産の取り扱いとは?」のテーマについての解説は以上になります。

当コラムを運営する「相続手続きガイド」では、相続の手続きに関する無料相談だけでなく、相続税や相続税対策、遺言書作成、家族信託といった相続全般に関しての無料相談を受け付けています。ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用してお悩みの相続問題を解決していただきたいと思います。

それでは、司法書士の久我山左近でした。

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