相続放棄後に相続財産清算人が必要になるケースとは?わかりやすく解説!

相続手続きガイド

こんにちは、「相続手続きガイド」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。

「父親の借金が多いため相続放棄をしたけれど、実家はそのまま残っている……」
「家族全員が相続放棄したら、残された財産は誰が処分するの?」
「相続放棄した後に、相続財産清算人を選任しなければならないと聞いたけれど本当?」

相続放棄について調べていると、「相続財産清算人」という言葉を目にすることがあります。

相続財産清算人とは、相続人がいない場合などに、亡くなった人の財産を管理・清算するために家庭裁判所によって
選任される人です。

ただし、相続放棄をしたからといって、必ず相続財産清算人を選任しなければならないわけではありません。

この記事では、相続放棄後に相続財産清算人が必要になるケースと、選任しなくてもよいケースについて、司法書士の久我山左近ができるだけわかりやすく解説いたします。

お友達登録するだけで相続放棄のお悩みが解決できる!相続お悩みLINE相談!

目次

そもそも清算人を選任する具体的な必要性があるのかを先に検討!

司法書士法人ホワイトリーガル
「相続放棄相談のページを少し見てみる!」
司法書士法人ホワイトリーガル
「相続放棄相談のページを少し見てみる!」

相続財産清算人とは、相続人がいない場合に、亡くなった人(被相続人)の財産を管理・清算する人です。

以前は「相続財産管理人」と呼ばれていましたが、2023年4月1日に施行された改正民法により、相続人不存在の場合に財産の清算を行う者については「相続財産清算人」という名称が使われるようになりました。

相続財産清算人は家庭裁判所によって選任され、主に次のような業務を行います。

・被相続人の預貯金や不動産などの管理
・必要に応じた財産の換価
・債権者や受遺者への支払い
・相続人の捜索に関する手続き
・特別縁故者への財産分与への対応
・最終的に残った財産の国庫への帰属

つまり、相続する人がいなくなったときに、残された財産を最終的に整理する役割を担うのが相続財産清算人です。

相続放棄したら必ず相続財産清算人が必要?

ここが最も重要なポイントです。

相続放棄をしただけで、相続財産清算人を選任しなければならないわけではありません。

たとえば父親が亡くなり、長男が相続放棄したとします。
長男以外に相続人となる人がいるのであれば、その人が相続することになります。また、第1順位の子どもが全員相続放棄すると、第2順位である父母などの直系尊属が相続人になることがあります。直系尊属がいなければ、一定の場合には第3順位の兄弟姉妹が相続人になります。
そのため、「自分が相続放棄した=相続人がいなくなる」とは限りません。

基本的には、法定相続人となる可能性のある人が全員いなくなったり相続放棄したりして、最終的に相続人不存在となった場合に、相続財産清算人の問題が出てきます。

相続財産清算人が必要になる代表的なケース

それでは、具体的にどのような場合に相続財産清算人の選任を検討するのでしょうか。

代表的なケースを見ていきましょう。

①相続人全員が相続放棄して不動産が残ったケース

実務上、特に問題になりやすいのが「空き家」です。

たとえば父親が、

・消費者金融などからの借金500万円
・地方にある古い実家
・ほとんど価値のない山林

を残して亡くなったとします。

借金の方が明らかに多いため、子どもが全員相続放棄し、さらに後順位の相続人も全員相続放棄したとします。
これで相続人がいなくなったとしても、実家や山林そのものが消えてなくなるわけではありません。
誰かが管理・処分しなければならない問題が残ります。
このような場合に、相続財産清算人を選任し、残された財産を管理・清算する必要性が出てきます。

②相続放棄した人が実家などを「現に占有」しているケース

相続放棄をした人にとって特に注意したいのが、民法940条です。

2023年4月の民法改正によって、相続放棄した人が一律に相続財産の管理義務を負う仕組みではなくなりました。
現在は、相続放棄をした時点で相続財産を「現に占有している人」が、その財産を相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならないとされています。

たとえば、「父親名義の実家で父親と長男が一緒に暮らしていた」というケースを考えてみましょう。
父親が死亡した後、長男が相続放棄し、他の相続人もすべて相続放棄したとします。
長男がその家を現に占有している場合には、「相続放棄したから、今日から家について何もしなくていい」とは単純にはいきません。財産を引き渡す相手がいない場合には、相続財産清算人を選任して引き渡す必要性が生じることがあります。

一方、遠方に住んでいて、被相続人の自宅を占有していなかった相続放棄者まで、一律に同じ保存義務を負うわけではありません。

この違いは非常に重要です。

③債権者が残された財産から回収したいケース

相続財産清算人を必要とするのは、相続放棄した親族だけではありません。

たとえば、「亡くなった人に500万円を貸していた。しかし、相続人が全員相続放棄してしまった」というケースです。

相続人がいないからといって、被相続人が所有していた預貯金や不動産までなくなるわけではありません。
そこで債権者が利害関係人として家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、清算手続きの中で債権の弁済を求めることがあります。

④特別縁故者が財産を受け取りたいケース

被相続人に法定相続人はいなくても、生前に非常に親しい関係にあった人がいる場合があります。

代表的なのが、長年一緒に生活していた内縁の配偶者などです。内縁関係の場合、法律上の配偶者ではないため、原則として法定相続人にはなりません。しかし、一定の要件を満たす場合には「特別縁故者」として、家庭裁判所に相続財産の分与を申し立てられる可能性があります。

この場合にも、まず相続財産清算人による相続財産の清算手続きを進めることになります。

⑤空き家などを具体的に処分する必要があるケース

相続人全員が相続放棄した後も、被相続人名義の空き家が残るケースは珍しくありません。

しかも、「建物が老朽化している」「庭の雑草が伸びて近所から苦情が来ている」「台風で屋根瓦が飛びそう」
「土地建物を売却して債権者への支払いに充てたい」など、具体的な問題が発生することがあります。
しかし、相続放棄した人は相続人ではありません。そのため、相続放棄した元相続人が自分の判断で被相続人の不動産を売却することはできません。

このように、残された財産について具体的な管理や処分が必要な場合には、相続財産清算人の選任を検討することになります。

相続人全員が放棄したら必ず清算人を選任するの?

ここもよくある誤解です。

相続人全員が相続放棄したからといって、最後に相続放棄した人が必ず相続財産清算人の選任を申し立てなければならないわけではありません。

相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てることができるのは、利害関係人や検察官です。

利害関係人には、たとえば、

・被相続人の債権者
・特定遺贈を受けた人
・特別縁故者
・相続財産について法律上の利害関係を有する人

などが考えられます。

したがって、「兄弟姉妹まで全員相続放棄したので、最後に放棄した私が必ず清算人を付けなければならない」とは限りません。
ただし、自分が被相続人の家を現に占有しているなど、財産を保存しなければならない立場にある場合には、相続財産清算人を選任して財産を引き渡すことを検討する必要があります。

相続財産清算人の選任には費用がかかる

相続財産清算人の選任申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
申立て自体には収入印紙や郵便切手、官報公告料などの費用が必要です。

さらに注意したいのが「予納金」です。相続財産から清算人の報酬や財産管理に必要な費用を支払えない可能性がある場合には、家庭裁判所から申立人に予納金の納付を求められることがあります。

特に、「ほとんど価値のない空き家しかない」「預貯金がほとんど残っていない」といったケースでは注意が必要です。

そのため、「全員が相続放棄したから、とりあえず清算人を選任しておこう」と考えるのではなく、選任する具体的な必要性があるのかを確認することが大切です。

相続放棄後にやってはいけないことにも注意

相続放棄をした後は、被相続人の財産を勝手に処分しないよう注意しましょう。
相続放棄をしたにもかかわらず、相続財産を自分のために処分するなど一定の行為をすると、法定単純承認の問題が
生じる可能性があります。

たとえば、「もう誰も相続しないから」と被相続人の預金を自分の生活費に使ったり、価値のある財産を勝手に売却したりするのは避けるべきです。

一方で、財産の価値を維持するために必要な保存行為などについては、処分行為とは別に考える必要があります。

何をしてよいのか判断が難しい場合には、自己判断で財産を動かさず、司法書士や弁護士などの専門家に相談すると安心です。

まとめ|相続放棄しただけなら清算人が必ず必要なわけではない

相続財産清算人は、相続人がいなくなった場合に、被相続人の財産を管理・清算する重要な役割を持っています。
しかし、「相続放棄をした=相続財産清算人を選任しなければならない」というわけではありません。

自分が相続放棄しても他に相続人がいるのであれば、通常はその人が相続財産を引き継ぐことになります。

相続財産清算人の選任が問題になりやすいのは、相続人となる人が最終的にいなくなり、なお不動産などの処理すべき財産が残っている場合です。

特に注意したいのが、相続放棄した人自身が被相続人の自宅などを「現に占有」しているケースです。
この場合には、相続放棄後も一定の保存義務が残る可能性があるため、相続財産清算人を選任して財産を引き渡すことを検討する必要があります。

相続放棄は「家庭裁判所に申述して終わり」とは限りません。
空き家や土地などが残っている場合には、①誰が相続人になるのか、②相続人が本当に不存在になっているのか、
③自分が財産を現に占有しているのか、④その財産を今後誰が管理・処分するのかまで確認することが大切です。

「相続放棄した=清算人を選任する」ではなく、「最終的に相続人がいなくなった+残った財産を処理する必要がある」と考えると分かりやすいです。

相続放棄後の財産管理や相続財産清算人の選任について判断に迷った場合には、早めに司法書士や弁護士などの専門家へ相談しましょう。

それでは、ここまでで、「相続放棄後に相続財産清算人が必要になるケースとは?わかりやすく解説!」のテーマの解説は以上になります。
「自分の場合はどうなるのか知りたい」「手続きの流れを教えてほしい」といったご相談でも大丈夫です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

カワウソ竹千代

相続の手続きでのお悩みについては、お気軽に当事務所までご相談をしてくださいね。

久我山左近

それでは、司法書士の久我山左近でした!

簡単1分で入力できる相続放棄相談のページはこちらへ!

司法書士法人ホワイトリーガル
司法書士法人ホワイトリーガル
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次