遺留分減殺請求とは?法定相続人が遺留分を請求できる制度です!

相続手続き完全ガイド

こんにちは、「相続手続き完全ガイド」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。

遺留分減殺請求とは、亡くなった方(被相続人)が遺産を特定の相続人に片寄って譲った場合に、その他の法定相続人(兄弟姉妹等を除く)が自らの最低限の取り分(遺留分)を請求できる制度になります。
2019年の民法改正により「遺留分侵害額請求」という名称になり、より利用しやすい制度に変更されています。

今回の記事では、遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いなどについて司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。相続に対する知識をしっかりと身に付けて、万が一、相続において不公平な取り扱いがあった場合には、対応できるようにいたしましょう。

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法定相続人の権利である遺留分についても司法書士が詳しく解説します!

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亡くなった方(被相続人)が知らない誰かに全部の相続財産をあげてしまうと、残された相続人は今後の生活で困窮してしまうことも考えられます。そこで、民法では相続人である妻や子供には最低限の取り分が保証されています。
その最低限の取り分を「遺留分」といい、今回の記事では、この遺留分について司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。

遺留分とは?

遺留分とは、被相続人の遺産のうち、「兄弟姉妹を除く法定相続人(遺留分権利者)」に対して保障される、最低限の遺産取得分のことです(民法1042条)。

遺留分は、被相続人の意思を尊重しながらも、残された家族の生活保障や婚姻生活で築いた資産の清算という意味合いを考慮しています。被相続人が遺言や贈与などで遺産を完全に自由に処分することを防ぎ、一定の取り分を遺留分権利者に保障する制度です。

遺留分は、遺言でも奪うことができない「一定範囲の相続人に認められる最低限度の遺産取得割合」で、被相続人の配偶者や子ども、両親などが遺留分を受ける権利を有します。遺留分の割合は、相続人の数や関係によって異なります。

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参考:法務省「豆知識:法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)」

遺留分減殺請求は民法改正で遺留分侵害額請求へ変更

従来の「遺留分減殺請求」が「遺留分侵害額請求」へと改正されたことで、遺留分の権利行使の方法やルールが変わりました。遺留分の侵害があった場合には、相続人は侵害額を金銭で請求できるようになりました。

1)遺留分減殺請求とは

遺留分減殺請求とは、遺言者が特定の人物だけに、遺産の全額もしくはその大半を譲るなどといった際に、一定の範囲にいる法定相続人が自分の遺留分(保証された最低限の取り分)を現物請求できる制度です。
請求は、家庭裁判所に対して行います。

参考:裁判所「遺留分減殺による物件返還請求調停」

2)2019年の民法改正で遺留分侵害額請求へ

遺留分減殺請求は2019年の民法改正により、遺留分侵害額請求へ制度が変更し、内容も大幅に変わっています。
改正後は、遺留分の返還方法が現物返還から金銭請求に変わりました。
今までは不動産の持分など、現物でもらっても実際には処分さえも出来なくて困ることが多かった遺留分ですが、改正後は金銭での請求に変わりましたので、実益に沿った改正がされたといえるでしょう。

参考:法務省「相続に関するルールが大きく変わります」

3)遺留分侵害額請求の概要

遺留分侵害額請求は、一定の法定相続人(配偶者・子ども・親等)が遺留分に相当する財産を受け取れていない場合に、その請求権を行使できます。遺留分は、最低限受け取れる財産の割合が決められているため、その割合に満たない場合には請求が可能です。

遺留分侵害額請求は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈を知ったときから1年で時効消滅します(民法1048条)。ですから、1年が経過する前に、内容証明郵便の送付や訴訟の提起などで時効が完成するのを阻止する必要があります。

ただし、相続があったことを知らなかった場合には、相続開始から10年(除斥期間)は手続き可能です。

遺留分減殺請求と同様に、遺留分侵害額請求も家庭裁判所へ調停を請求します。調停を行うためには、一定の書類と費用が必要です。具体的な手続きや必要な書類については、専門家である司法書士や弁護士に相談することをお勧めいたします。

参考:裁判所「遺留分侵害額の請求調停」

遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違い

遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の大きな違いは、現物返還から金銭請求への変更です。
遺留分減殺請求は、旧民法の制度であり、相続人が遺留分を請求する際には、具体的な財産の返還を求めることが一般的でした。一方、現行民法の改正により、遺留分侵害額請求では、現物返還ではなく金銭の請求が可能となりました。

この改正により、相続人は遺留分の金額を具体的に算定し、その金額を遺産の受益者に対して請求できます。具体的な財産の返還を求めるのではなく、金銭の請求が可能となったことで、より具体的な権利の行使が、スピーディーにできるようになりました。

遺留分侵害額請求は、公平な相続を実現するための制度であり、遺留分の引き渡しを拒否された場合や、不公平な相続が行われた場合に有効な手段となります。
遺留分侵害額の請求は、遺留分の保証された最低限の取り分を主張する権利であり、相続人の権益を守るための重要な手段となっています。

改正前遺留分減殺請求現物返還を請求
改正後遺留分侵害額請求侵害額を金銭請求

「遺留分減殺請求」まとめ

遺留分減殺請求は、遺留分を侵害された場合に、土地などの現物での返還を請求するものでした。しかし、現物の返還には、多くの手続きが必要で非常に手間がかかるものになっていました。

さらに、例えば現物として土地の一部を返還された場合には、複数の相続人の共有名義などになり、その後の現金化や運用が非常に大変で問題点も多くありました。

改正後の遺留分侵害額請求であれば、遺留分の侵害額を算定して、金銭で請求できるため双方にとってメリットの多い制度となっています。

しかし、遺留分の返還請求は、法的な知識や裁判所での手続きが必要なため、早い段階で司法書士や弁護士などの専門家に相談することがお勧めです。

ここまでで、今回のコラム「遺留分減殺請求とは?法定相続人が遺留分を請求できる制度です!」のテーマについての解説は以上になります。

当コラムを運営する「相続手続き完全ガイド」では、遺留分に関する無料相談だけでなく、相続登記、家族信託といった相続全般に関しての無料相談を受け付けています。ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用してお悩みの相続問題を解決していただきたいと思います。

それでは、司法書士の久我山左近でした。

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